ラーメン会議トップへ戻る

« 第3回 ラーメンの現在 | メイン | 第5回 20年後の究極のラーメン »

第4回 96年組によるラーメン革命

この10年の革命的とまでいえるラーメンの劇的な変化。それを引っ張ってきたのが96年組と呼ばれる3軒のラーメン店だという。その96年組がいかにラーメンを変えたのか、そして、さらに進化をし続けるポスト96年組をテーマに、前回に引き続き、「日本一ラーメンを食べた男」、ラーメン評論家の大崎裕史氏とともに、会議を行う。いつもの様に、この基調トークを踏まえ、塾生諸君の意見や感想を、ブログで大いに発言してほしい。


[第4回 発言テーマ]
1.キミが好きな96年以降のラーメン店と、支持する理由。
2.96年組がキミに与えた衝撃と影響。
3.食券機がいいか、フェース2フェースがいいか。
4.キミが美味しいと思う96年革命とは無縁のラーメン店。  

※ 発言テーマは上記に限らず広く考えて結構です。
  今回の基調トークとの関連で自由に発言して下さい。


小哲〜前回は、96年組の登場が日本のラーメンを大きく変えるきっかけになった、という話だったんですが、じっさいどんなふうに変わったんですか?

061115osaki.jpg大崎〜まず、「青葉」はダブルスープという言葉を誕生させたんですね。豚骨のパイタンスープに和風だしを合わせるという、いまから思えば単純な発想なんですが、ラーメン界では誰もやってなかった。それをやることによって、魚介の香りが立つけれどもコクもあり、若者にうけるこってり感もありということで、オープンして1年たたずに人気ランキング第1位をずうっと続けた、という店なんですね。そのお店に食べに行った人が、これはすごいということで、まねをしたお店が周辺にいっぱいできて、たぶん都内に100軒近くまねをしたお店があるんじゃないかと思います。その延長上に豚骨魚介系のまた新たな潮流ができたんですが、そのお店が誕生したことによって、東京にはそういう豚骨と魚介を合わせる新しいタイプのラーメンが続出しました。

塾長〜それは醤油味ですか。

大崎〜醤油ですね。

小哲〜ダブルスープっていうのは寸胴鍋を2つ用意して、片方で豚骨をやって、片方で魚介だしとるってやつですね。それぞれ個性が違い、香りが立つ時間も違うから、お互いに殺しあうことがない。

塾長〜どんぶりに入れるときに合わせるんですか。

大崎〜もともと「青葉」はそれだったんですけども、3か月目でものすごい行列ができるようになって、それじゃあ間に合わないということで合わせるようになっちゃった。もともとはそこからダブルスープという言葉が誕生しているんですが、いまそれをやってるのは「麺屋武蔵」と何軒かぐらいしかないですね。

無化調とジャズと食券機

小哲〜でも、そのアイデアはすごいですよね。コロンブスの卵じゃないけど、最初にやった人はえらい。

大崎〜時間差で入れるというパターンですね。直前に合わせるのは、香りという点でも大きいですね。もう一つは、「麺屋武蔵」、若い人が元気よく声を出して、清潔な店内、BGMがジャズ、化学調味料は一切使わない。こういうダブルスープをうちではやってます。いままでのラーメン店にはない雰囲気でお召し上がりください。という新たな提供のしかたというんですかね。ジャズはさすがにあんまりまねするところはなかったですけれども、化学調味料を使わないというのはかなり浸透しましたね。それと食券機を浸透させたのも「麺屋武蔵」じゃないかと思うんですね。地方に行くとラーメン店にまだ食券機はあまりないけれども、東京は圧倒的に食券機の世界になってしまいました。でも、私は食べ終わって「おばちゃん、おいしかったよ」と言いながらのお金のやりとりというのが好きなんですけど、それがなくなって、おいしかったよ、と言おうと思ったら店員さんがいなかったりとかいう寂しい思いをすることがありますけどね。

塾長〜最初に買うんでしょう、食券を。

大崎〜そうです。ですから「ごちそうさまでした」って私は必ず言うようにしてるんですけど、ほんとはお金を渡して「ごちそうさまでした、おいしかったです」と言うフェイストウフェイスが好きなんです。いまは言おうと思っても一生懸命つくってたりとか、奥に行ってたりとかして、ちょっとそれは寂しい部分がありますよね。ただ、「麺屋武蔵」の店主はお金を触った手で食材を触りたくないのでと。まあ、洗えばいいことではあるんですけれども、そういう観点で食券機を導入したというのがありましたけどね。

小哲〜そうすると、「青葉」と「「麺屋武蔵」」と「くじら軒」がいまの急激なる発展のもとになった。 

大崎〜それ以降にオープンしたお店はなんらかの形で、その3軒のどれかの影響を受けてるといっても間違いないぐらい、特に首都圏では、影響力は大きいですね。

一大勢力となった「家系」ラーメン

小哲〜家系ラーメンはどうなんですか?

塾長〜なに、家系って?

大崎〜吉村さんがやったので、「吉村家」というラーメン屋さんがあるんですね。そこはカリスマ的に人気がありまして、そこで修業した人たちがどんどん独立して、大体、独立した人は、私だったら大崎家とつけるんでですね。家がついているので家系という呼び方をしていて、それがいま神奈川を中心に300軒ぐらいありまして、すごい一大勢力を誇っています。

塾長〜96年組よりもっと前から?

大崎〜「吉村家」自体は25年前に創業してますので。

061115kariya.jpg塾長〜私はずっと近くオーストラリアに住んでるから、最近のはあまりよく知らないんだけど、どんな味なんですか。

大崎〜こってりの豚骨に醤油をとっと入れて、豚骨スープなんですけれども、むしろ醤油が際立っているという感じですね。

塾長〜単純に豚骨だけ?

大崎〜そうです。鶏ガラもちょっと入ってるんですけど、あれはあまりいい雰囲気ではない、目の前で豚骨を追加していくんですよ。だから、入れる時間帯によって、直前だと薄くて、入れてしばらくすると濃いのが出るくるわけなんで、食べる時間帯によってばらつきがあるというのは、お客さんとしてはあまりいいことではないと思うんです。家系はそういう、いわば体育会系的な、肉体的な、ラーメン屋さんです。いまラーメン界は、きれいで、清潔で、あまり体育会系的でないラーメン屋さんが多いんですけれども、家系を中心とした昔ながらのラーメン屋さんは、白Tシャツに鉢巻で、長靴を履いて、店員を怒鳴りちらしてというタイプです。

小哲〜あれが家系ですか。「なんつっ亭」も同じですよね。

大崎〜あれは家系ではないんですけれども、スタイルは一緒ですね、まさに。あそこは髭も生やしてますけどね。
 
さらに進化を続けるポスト96年組

小哲〜ところで、最初の話に戻るんだけど、96年組が登場して、つくり方も、味も、革命的に変わった。そうすると、96年組の後、つまり、それから10年近く経った現在は、なにか新しい動きってありますか。

大崎〜96年組の影響を受けた人たちが独立して、さらに進化させて出店した人たちはすごく活性化していますね。それまでのラーメンを進化させた組と、これまでになかったようなとてつもない、例えば、洋風ラーメンみたいな感じとか、そういうラーメンをつくり出している人たちが増えてきましたね。で、結局、インパクトというか、いままでにないラーメンをつくり始めてる組と、いままでのラーメンを守っている、あるいはそれを進化させる組と、二極に分かれてきてますね。

小哲〜厚木の「本丸亭」はトビウオのだしを使ってるんですけど、他にも「麺屋武蔵」はサンマだとか、そういうのは、やはり96年ぐらいからの流れですか。

大崎〜そうですね。そのへんから食材に対するこだわりが増えてきて、サンマは確かにほかと違うなというのがありましたけども、アゴのだしとかだと、違うなというより、おいしいなというのはわかるんですね。違うなという感じではなくて。サンマはかなり違和感がありましたね、これまでのとは違うなという感じで。

塾長〜サンマをどうするってすか?

大崎〜サンマの煮干しですね。

小哲〜普通だったらサバ節とかソーダガツオとかやるんだけど、あと煮干しとかね。最近はそういう、新しいだしの実験をいろいろしているみたいですね。

大崎〜最近、タイも増えてますね。小鯛。

小哲〜干したやつですか。

大崎〜そうですね。

小哲〜最近は、魚介系のだしが入った店がずいぶん増えてきてますね。

大崎〜そうですね。それを表に出して宣伝してるというか、うちはこういうものを使ってますと言うようになったというのもあると思うんですけど。ハマグリのだしとか、すごいおいしいお店がありますね。

小哲〜ハマグリもありますか。というと、だしじゃないんですね、生のハマグリを煮た煮汁ですよね。

ダブルの次はトリプルスープ

大崎〜そこは動物系と魚介系とハマグリのだしといっていて、それを「トリプルスープ」ということで。ダブルが出たら、その発想からダブルよりもトリプルの方がすごいんじゃないかと思われるんでしょうね。実際に聞いた印象だとトリプルの方がすごいので、へえーっ、どんなスープなんだろう、行ってみようということになりますよね。実際に、動物系と、魚介系と、ハマグリだけでとっただしを3つ合わせたトリプルスープで、それは今年オープンした店ですけど、新人賞をとるぐらいのお店ですね。

塾長〜おいしいんですか?

大崎〜おいしいですね。

小哲〜貝だど、貝柱とか干してからだしにを使ってるけれども、ハマグリだと生だからもっとハマグリくさいのが出ますよね。

大崎〜そうですね、臭みのギリギリぐらいの感じですね。ですから人によっては臭くてちょっと食えなかったという人もいますし、それはもしかしたら調子が悪かったときかもしれませんし、苦手な人かもしれないですね。たぶん、ほんとにギリギリの感じだと思います。ものすごい個性を出しているので。個性を出すことが生き残る手段になってきますから、ギリギリですよね。豚骨も相当ギリギリの臭みを出したりとか。

061115kotetsu.jpg小哲〜なるほどね、みんな個性を出すためにいろいろ新しいことを試しているわけだ。中には、料理の常識からは考えられないこともやってたりするんだけど、でも、理にかなっていればダブルスープみたいに一世を風靡することができる。料理の常識よりも、とにかく自分流で勝負だってところが、最近のラーメンらしいとこなんでしょうね。で、どうでしょうね、そのへんのことを、実際に食べながら、さらに話を.進めるというのは。参考事例として、どこか大崎さんのお薦めの店ってないですか。

大崎〜そうですね、面白い店としては、食材自体にこだわって、こだわって、麺も小麦粉にこだわっていたら、結局自分で作るようになったというようなお店がいくつか出始めているんですね。その中の代表的な例が表参道ヒルズに店を出した「MIST」です。もともと護国寺にちゃぶ屋という本店がありまして、それも話題になって、人気のあるラーメン店だったんですけど、そこの店主がさらにこだわったラーメンを提供したいということで、表参道に店を出したんですね。ラーメン店が表参道ヒルズに入るということ自体ニュースなんですけども、そこに入れたのは、コンセプトとして、こだわりぬいた食材、きめ細かいラーメンづくり、というのがあったからだと思うんです。で、この店なんか参考事例にどうでしょう。

小哲〜あ、いいですね、じゃあ、そこで参考事例を食してから、会議の続きをすることにしましょう、楽しみだな・・・・・・・


(次回へ続く)

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.oishinbo.net/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/12

この一覧は、次のエントリーを参照しています: 第4回 96年組によるラーメン革命:

» 11月15日 本日のメモ 送信元 ラーメン大好き小○さん (1ヶ月で100軒制覇に挑戦したブログ!!)
いやー、松坂の入札額すごかったですねー。 あれだけで2年半くらい西武ライオンズを運営出来そうです。ま、いろいろ補強とか観客サービスに使って欲しいですね。... [詳しくはこちら]

カテゴリー
このページについて

2006年11月15日 05:37に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「第3回 ラーメンの現在」です。

次の投稿は「第5回 20年後の究極のラーメン」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。


(C) Tetsu Kariya All Rights Reserved. No reproduction or republication without written permission.
イラスト/花咲アキラ(「美味しんぼ」より)
掲載の記事・写真・イラスト等のすべてのコンテンツの無断複写・転載を禁じます。