第7回 日本全県ラーメン巡り その1
ラーメン会議は、今回からいよいよ郷土のラーメンを求めて日本全国に出かけてゆく。その第1回目は、人口比では日本一ラーメン店が多い山形県をはじめ、知られざるラーメン王国東北を、郷土文化研究家でもある東北担当講師の斎藤博之氏と共に回る。いつもの様に、この基調トークを踏まえ、塾生諸君の意見や感想を、ブログで大いに発言してほしい。
●斎藤博之プロフィール
1960年、青森県弘前市生まれ。青森市在住、フリーランス・ルポライター。東北や北海道を主なフィールドとして、祭りや民俗芸能、地域に固有な食文化・街道や海上の道の社会文化史・温泉の文化史・地域のなかの蕎麦やラーメン、地域づくりやNPO活動などについて執筆をしている。また、スローフードやエコミュージアム・グリーンツーリズムをテーマとする地域づくりの指導もしている。
第7回 発言テーマ
1. いわゆる創作ラーメンではなく、その土地で生まれた郷土のラーメンの魅力とは。
2. キミがいちばん好きな郷土の地ラーメン
3. キミが紹介したい、まだあまり知られていない地方の地ラーメン。
※発言テーマは上記に限らず広く考えて結構です。
今回の基調トークとの関連で自由に発言して下さい。
小哲〜「日本全県ラーメンめぐり」は、まずは青森からスタートしようと思うんですが、東北担当講師の斎藤さんは、「美味しんぼ」の「日本全県味めぐり?青森編」(2007年にスピリッツで連載予定)の取材コーディネートもやっていただいたんですよね。
斎藤〜ええ、青森の郷土料理のガイドみたいなことをやりました。
小哲〜でも、斎藤さんは郷土料理だけでなく、東北のラーメンについても非常に詳しくて、しかもラーメンは郷土料理だというのが持論だそうで、これは「ラーメン会議」のテーマでもあります。そこで、今度は「ラーメン会議」の東北担当講師として、東北らしいラーメン屋をいろいろ案内してもらうんですけど、その前に、斎藤さんと郷土料理のそもそもの関わりについて、教えてくれますか。
斎藤〜私はもともと各地域の民俗芸能を調査してまして・・・・
小哲〜あっ、そうか。もともとは民俗芸能ですか。
民俗芸能に郷土料理はつきもの
斎藤〜はい。民俗芸能というのはお祭りの日に行われ、ハレの日なので、いろんな食べものも一緒に出てきます。ですから、その地域の民俗芸能と郷土料理は密接な関わりがあるんですね。それで、私もだんだんと郷土料理の方にも興味を持つようになったわけです。で、蕎麦やうどんなみたいな粉で作る食べものが、地域の特徴がいちばん出ていて面白いんだけど、いわゆる「そば通」という人達は、東京を中心にしてしか見ていないから、それぞれの地域の特徴のあるものがきちんと評価されていないと思うんです。同じように、ラーメンについても、全国一律に美味しい、美味しくないの価値尺度があるのではなく、その地域の人にとっての価値尺度があるのではないかと思います。だから、ある地域の人々にとって美味しいラーメンと、別の地域の人々にとって美味しいラーメンが必ずしも同じでなくてよいし、むしろ、いろんな尺度があるべきなんです。そういう意味で、私はラーメンというものも郷土料理だと思っています。ラーメンは日本で成立して百年近い歴史があるわけですから、その歴史の中で、麺はどういうふうに作るのかとか、スープは何のだしなのか、どういう場所で食べるのかとか、いうことも含めて、地域ごとの特徴があって、だからラーメンは郷土料理だと思います。ただし、これまでラーメンはあまり郷土料理としては語られてこなかった。
山形県は人口比で日本一のラーメン県
小哲〜まったく、その通りですね。僕も含めて都会の人間というのは、ついつい東京中心の価値観で日本全国を見ようとしちゃうんです。だから正直な話、僕だってこれまで東北のラーメンにはまったく目が向いていませんでした。札幌ラーメンや博多ラーメンみたいに全国区になったものは別として、地方のラーメンは東京の人間にとっては、まだまだ未知のものだと思います。でもね、統計資料をみると、人口比で日本一ラーメン屋が多いのは、北海道でも、福岡でもなく、なんと山形県なんですね。もちろん、東京の人間は誰もそんなこと知らないし、当の山形の人だって、自分の県が日本一だなんて気がついてないんじゃないかな。ちなみに、青森は全国で6位ですよ、福岡が31位だってのに。
斎藤〜それは意外ですけど、わかります。青森の人間はほんとによくラーメン食べますから。
小哲〜ところで、斎藤さんは食べるだけじゃなくて、ラーメン屋をプロデュースしたこともあるって聞いたんですけど。
斎藤〜ええ、何店かプロデュースしたことがあります。でも、私の場合は地域の食材を活かしたラーメン作りがしたかったんです。
小哲〜ようするに、「郷土料理」というコンセプトで地域のラーメンをつくろうとしたわけだ。それもあって東北中を食べ歩いていたと。
斎藤〜ええ。でも私が食べ歩いているのは、どこそこのお店がおいしいということよりも、その地域のラーメンの特徴は何か、ということが一番の興味なんです。基本的には、民俗芸能の調査時に行った時に、その土地のラーメンも食べ歩くわけです。そうすると、いわゆる最近はやりのご当地ラーメンとは違って、○○ラーメンという名前はついてないけれども、その地域ごとに特徴のあるラーメンが沢山あります。例えば、まだあまり知られてはいないけれども、山形県の酒田ラーメンのようなレベルの高いものがあちこちにあるので、そういうのがすごく面白いですね。
一杯のラーメンから土地の文化や人間まで見えてくる
小哲〜なるほどね。それぞれの土地の味が生かされたラーメンが各地にあるわけで、それを一律の価値観で単に美味しいまずいを言うのではなくて、とにかく食べてみる。そうすると、たかが一杯のラーメンであっても、その土地の文化や人間まで見えてくるわけだ。あの、よくまずい店に入っちゃうことってあるでしょ。僕は、そういう場合は、もうラーメンの味がどうだこうだというのは諦めて、その店のオヤジの顔とか、古びた店の作りとかをストーリーとして楽しむんですね。ラーメン以外のところを味わうってわけで、けっこう懐かしかったりもして、ま、いいかってことになっちゃう。
斎藤〜私もね、古くて汚い店って好きなんですよ。なんていうか、居心地がいい。
小哲〜そうそう、いい具合に古びていて、もうワビの世界でね。そんな所で食べるラーメンは、もう美味しいまずいじゃない・・・。おっと、ちょっと話がそれてしまった。さて、そこでなんですけど、これから青森県を回るにあたって、青森の地域性がよく出ていているラーメンにはどんなのがありますか。
斎藤〜そうですね、例えばですね、青森県にはいろんな地域があるんですが、スープの出しに焼き干しを使ったり、あるいは煮干しを使ったり、近くでとれた真昆布を使ったり、あるいは、青森県なのに函館から消えてしまっ昔の函館ラーメンの原型が生きていたり、いろんなものがあるんですが・・・・・
小哲〜おっとっと、じゃあ、その続きは行ってからの楽しみにしましょう。
つづく...
