第8回 日本全県ラーメン巡り その2
青森県から始まった「日本全県ラーメン巡り」、最初に訪れたのは、標準的な青森ラーメンの味を知るべく青森市内の「凡蔵」という店。煮干し風味のさっぱりスープは、小哲によれば、関東のうどんや蕎麦の汁をほうふつさせるというのだが・・・・・・。いつもの様に、この基調トークを踏まえ、塾生諸君の意見や感想を、ブログで大いに発言してほしい。
第8回 発言テーマ
1. キミにとっての煮干し出しラーメン。
2. 生まれ故郷の味とラーメンの味との関係
3. キミの故郷のお雑煮とラーメンのスープとの類似性。
※発言テーマは上記に限らず広く考えて結構です。
今回の基調トークとの関連で自由に発言して下さい。
●店データ
「凡蔵」
住所 青森県青森市本町5−10−14
電話 017−735−5795
営業時間 18:00〜翌2:00
定休日 日曜日
支那そば&手打ちラーメンが青森の標準
小哲〜斎藤さん、いよいよ青森のラーメンを食べるんですけど、この「凡蔵」という店は、「焼きとり」なんて看板も出ていて、ラーメン屋というよりも居酒屋っぽいですね。でも、ここが斎藤さんおすすめの青森ラーメンの店なんですね。
斎藤〜ええ、もちろん青森でもラーメン屋で焼きとりを出している店は珍しいです。でも、この店はですね、まずは一般的な青森のラーメンがどういうものなのかが分かるような、標準的な青森ラーメンの店ということでお連れしました。
小哲〜最近は青森でも、トンコツラーメンや東京風のもが増えているみたいなんだけど、この店は青森のスタイルを守っているってことですね。
斎藤〜そうなんです。で、この店はその中でも煮干しのだしが強い。それと青森県では、一般的に支那そばとか中華そばと呼ばれるものと、手打ちラーメンというものと二種類あります。支那そばというのはちぢれた細麺で、青森ではこれが標準タイプです。それと、青森にはもう一つ手打ちラーメンと呼ばれているものがあって、これは少し太めの手打ち麺が使われています。
小哲〜ほんとだ、確かに店の品書きには、支那そばと手打ち麺と二つ並んで書かれていますね。
斎藤〜ぞれじゃあ、さっそく食べてみましょうか
煮干しの匂いが強いさっぱりスープ
小哲〜最初に頼んだ支那そばが出てきました。なるほど、麺は細くて縮れています。スープは煮干しの匂いがとても強いなあ。でも、鶏の出しも使っているから、うまくまとまっている。それと、脂がほとんどなくて、とてもさっぱりしていますね。これ、関東の人間にとっては、ラーメンというよりも、うどん屋さん、おそば屋さんのおつゆですね。すごくさっぱりしてる。いま、東京ではトンコツとか脂こってりのが流行ってるけど、こういう昔風のシンプルなのもいいなあ。具としては、煮豚にメンマと刻みねぎ。それと、このお麩が入っているってのが不思議ですね。お麸の入ってるラーメンは、僕は初めてです。青森のラーメンはみんなお麩が入ってるもんですか?
店主〜そうです、ほとんど入ってます。なるとかお麩ですね。
小哲〜なるとは、東京でも古い店は使っているけど、お麩っていうのは見たことないなあ。
店主〜おうどんにもお麩が入るんです。鍋焼きうどんでも。
小哲〜あッ、その流れだったのか。関東でも鍋焼きうどんならお麸がはいってますからね。
斎藤〜青森では戦後、そば屋でラーメンを始めたところが結構あって、そのラーメン屋さんのスープというのが、こういった煮干し系のだしだったんです。で、この店は特別煮干しだしが強いんですけれども、こういうのが青森ラーメンの一つの傾向です。で、元々は手打ちの中太麺だったんですが、戦後間もなく製麺工場ができて、こういう縮れた麺を開発したところがありまして、それからこのようなチリチリタイプの麺が普及するようになったんですね。で、結局、昔からあった手打ちと、二つタイプが共存するようになったというわけです。
小哲〜細くて縮れてるのは僕の好みなんだけど、この手打ちのほうも食べてみると、この麺もいいですね。サッポロラーメンだと太くてボソボソしてるけど、これは麺の水分の含み具合とかがちょうどよくて、すごくしなやかなのに、コシもある。なかなかいいですね。だしは煮干しと何が入ってるんですかね。
斎藤〜いくつかのタイプがあって、ここは煮干し、焼き干し、昆布、あとは野菜のエキス。動物系は鶏ガラが少し入っていますね。手打ちラーメンは太いといっても、ごく太というより、ちょっと太めでコシがあって、これも縮れていて、スープはいま言った、焼き干し、煮干し、鶏ガラ。やっぱりそば屋さんのおつゆに近い感じがします。
お雑煮とラーメンのスープは似ているかもしれない
小哲〜これにお餅を入れたらお雑煮になるなあ。関東でもかつおじゃなくて、鶏の雑煮ってあるんですよ。
斎藤〜ええ、関東のラーメンて、関東のお雑煮に近いじゃないですか。例えば、東京のラーメンは東京のお雑煮に近いでしょう。鶏とかつおだしの。もともと昔の東京ラーメン。ラーメンというより中華そばっていう感じの。これもそれと近いんだけれども、これはこの地域のお雑煮のタイプなんです。
小哲〜これもお雑煮タイプ? そうなんだ。
斎藤〜基本的にお雑煮とラーメンは似てるのかもしれない。
小哲〜そうか。このへんだと正月食べる雑煮はこういうおつゆ?
斎藤〜ただ、青森のお雑煮はもっと濃いめですね。
小哲〜でも、味つけは醤油で?
店主〜醤油です。醤油だけども、あっさり系じゃないですね。わりかしドロッとしてます、青森のお雑煮は。
小哲〜だしは焼き干しを使うんでしょう。
店主〜もちろん焼き干しも入ります、昆布も入れます。あと、鶏ガラじゃなくて、鶏肉を入れますね、骨付き肉とか。どちらかといえば、きりたんぽ鍋にお餅を入れたのが青森のお雑煮ですね。東京のお雑煮は青森の人は物足りないと思う、あっさりしすぎてて。
小哲〜ああ、そんなに濃いんですか、青森のお雑煮は。
店主〜濃いですね、汁そのものが濃いから。これよりもうちょっと濃いと思います。そこの家庭、家庭で違いますけどね。わが家はどちらかというときりたんぽ系で。
小哲〜あれ?きりたんぽって青森もあるんですか? あれは秋田でしょ?
店主〜秋田ですけど、好みはあっち系に似てるので好んで食べます、きりたんぽ。
小哲〜そうか、お雑煮はきりたんぽ鍋に近い味だと。で、ラーメンにもその流れが入ってるってわけだ。だしだって同じだもんね。
店主〜秋田のラーメンは食べたことないんですけど、きりんぽは結構食べます。
小哲〜僕ね、ここのラーメンは個人的に好みですね。そして、最近、関東では、具がゴテゴテ入っていたり、背脂でギトギトのが多いけど、こういうシンプルなのは、なにかホットするな。それと、焼き干しの香りもね。これが青森の標準的な形なんですかね。
斎藤〜まあ、一つの傾向だと思ってください。
小哲〜焼き豚も、青森はこんな感じですかね。
店主〜焼き豚に関しては、ラーメン屋さん、ラーメン屋さんで全く違います。
斎藤〜支那そばって書いてるところは、こういうタイプのチャーシュー。
店主〜味がしみやすくできているところと、ごてごてしてるところとありますね。
小哲〜使う肉も違うからね。最近はバラをぐるっと巻いたやつで脂の多いのが結構流行ってるからね。昔は東京もこういう肩ロースの焼豚が普通だったけどね。どういうわけか、ある時からコッテリ系にエスカレートしていった。
青森の人間には青森のラーメンが一番
小哲〜お客さん、青森の方ですか。よそのラーメンと比べて青森のはやっぱり体に合いますか。
店主〜青森のラーメン美味しいですよね、東京のより。
小哲〜東京よりもおいしい? たとえば、どんなところが?東京のって最近は脂ギトギトのが流行ってるんですよ。
客1〜そういうのはここにはないのでわからないけど、シンプルなのが。
客2〜酒飲んだあとはこういうのがいい。
小哲〜そうだな、お酒飲んだ後はね。でも、まだ早いですよ?
店主〜早い方は5時ぐらいから飲んでますから。
小哲〜そうか、夜のこの時間は、もうお酒を飲んだあとなんだ。
店主〜そうなんです。ですから、この界隈に来るお客さんはこってりしたのは食べないですね。飲んだ後だから。
小哲〜こってりしたのも、あることはあるんですか。
店主〜あります、あります。とんこつ置いてる店もありますね。
斎藤〜元来はこういう傾向なんですね。最近は東京風のラーメン店が進出してきたり、まねして始めるところもあって。でも、大体青森の人は、どこそこのご当地ラーメンてテレビとかで紹介されるでしょう、でも、そんなものより青森のラーメンの方がおいしいと思ってますよね。
店主〜飽きちゃうんですよ。食べるのは食べるんだよね、一応もの珍しさで食べるけれども。
小哲〜お客さん 戻るところに戻ってきたわけだ。
店主〜一時的に変わったラーメンが流行ることは流行るけど、結局、自分の好みに戻るんですよ。
小哲〜その好みっていうのは何なんでしょうね。鍋とか、子どもの頃からおばあちゃんやおふくろがつくったのを食べてたとか。でも、それって、自分の好みであると同時に、じつはその土地の好みでもあるんですよね。だから、結局そういう味が身に染み込んでいるってことなんでしょうね、ラーメンでも。
店主〜そうだと思いますね。
ラーメンは強い、郷土の味はもっと強い
小哲〜青森のこのへんだとなんだろう、その鍋は。
店主〜青森はじゃっぱ汁だよね。さんペい汁、塩であれ、味噌であれ。
小哲〜タラで作るやつね。
店主〜そうです、そうです。
小哲〜だけど、あっちのほうが、もっと具がこってりしてるよね。
店主〜でも、あっさり系だと塩味で。脂ののってる魚を使うときはこってりで味噌味にして。あれはお正月だね、ほとんどね。お正月、お酒飲んで、こってりしたのがほしくなれば味噌味のじゃっぱ汁。あっさりして喉ごしをよくしたければ塩の薄味で大根を入れたりね。
小哲〜そうか、そういう普段の食べ物が背景にあるから、ラーメンにしても、こういうタイプのものが、青森の人の口に合うってわけだ。でも、青森だって昔はラーメンじゃなくてうどんを食べていたんでしょ。そこにある時ラーメンが入ってきて、若い人がみんなラーメン飛びついちゃった。
店主〜うどんもそばも昔はいっぱいお店あったんですけど、うどんやそばは自分の家で食べるのが多いから、お店に行って食べるっていうのがあんまりないんですよ。だから、最近はあんまり流行らないんだよね。
小哲〜じゃあ、外食で麺を食べるとなると最近はもっぱらラーメンで、しかも、昔から馴染みのある焼干しのような味つけが好まれたってわけですね。それにしても、ラーメンは強いなあ。ただし、青森を見ていると郷土の味も強いから、ラーメンのほうも青森風に変えられてしまっている。
斎藤〜そうですね、ラーメンはうどんやそばにはない味の強さがあるけれど、一方でそんなふうに土地の文化に合わせて自由に変化させ順応できるってところが、また強みなんでしょうね。
小哲〜その意味じゃ、ラーメンってやっぱり日本的ですよね、融通のきくところが。だから、どんどん進化してしまう。ところで、斎藤さん、次はどんな店に連れてってくれますか?
斎藤〜次はですね、下北半島の先端、大間にちょっと珍しいラーメンがあるので、行ってみたいと思います。
小哲〜大間といえば本州最北端で、マグロの一本釣りで有名ですよね。その最北端の町でも、やっぱりラーメンがあるわけだ。ウーム、やっぱりラーメンは強い。いや、それほどまでに日本人はラーメン好きだってことか・・・・・・・・・
つづく...
