第9回 日本全県ラーメン巡り その3
青森市内から下北半島をひた走り、斎藤講師と小哲塾頭がやって来たのは、海峡の烈風吹きすさぶ大間漁港。のれんをくぐると、そこには函館ラーメンの伝統を今に受け継ぐというラーメンが待っていた。いつもの様に、この基調トークを踏まえ、塾生諸君の意見や感想を、ブログで大いに発言してほしい。
第9回 発言テーマ
1. キミにとっての塩ラーメン。
2. 自分の町の味、よその町の味。
3. キミの好きな麺の食感について。
※ 発言テーマは上記に限らず広く考えて結構です。
今回の基調トークとの関連で自由に発言して下さい。
●店データ
「すみよし食堂」
住所 青森県下北郡大間町上野 20-1
電話 0175−37−3170
営業時間 11:00〜21:00

海峡のこちら側と向こう側
小哲〜いやァ、ついにやって来ました。ここは、下北半島の先端、マグロの一本釣りで有名な大間です。僕はずっと前に恐山までは来たことがあるんだけど、まさか、まぐろじゃなくてラーメンを食べるために大間まで来ようとは思ってなかったなあ。
斎藤〜いやいや、どーも、お疲れさまでした。ほら、海の向こうに山が見えるでしょ。あれがもう北海道ですから。

小哲〜そうですか、本州の最北端で、目の前の海が津軽海峡ってわけだ。なぜかわからないけど、海峡って聞くと、何か胸にジーンと迫るものがあるんだな。霧の深い海峡があれば、背伸びして見る海峡、なんてのもあって、泣けますよね。おっと、そんなこと言っている場合じゃなくて、ラーメンですよ、ラーメン。で、さっそくですが、斎藤さん、わざわざこんな所まで食べにきたそのラーメンについて説明してくれますか。
斎藤〜はいはい。えーと、ここ大間は津軽海峡を挟んで函館側と下北半島側と、同じような食文化を共有している文化圏でして、ラーメンについても、北海道と下北半島の津軽海峡側と同じ塩ラーメンなんです。むしろ、函館は東京の影響で最近はだんだん変化してきていて、こちらの方が昔のスタイルの函館ラーメンが残っているというちょっと不思議な地域なんです。
小哲〜海峡をはさんでだけども、それはフェリーボートで往来があるということですか。
斎藤〜それもあるんですけども、もともと江戸時代から往き来があったんです。もっとさかのぼれば縄文時代にも。
小哲〜えッ、そんな時代から往き来があった?
斎藤〜ええ。縄文時代の遺跡も函館側と青森側と同じような様式の土器とか文化を持ったものが両方にあるんです。
小哲〜そうすると、食文化でほかにも共通するものが、ラーメン以外にもあるんですか。
斎藤〜ええ、クジラ汁とか。それから、正月や小正月に食べるものとか、いろんな点で共通しています。
小哲〜なんだか、海峡をはさんだ函館の飛び地みたいですね。で、ラーメンはどんな種類なんですか。
下北に今も残る函館ラーメン
斎藤〜基本的には、豚のげんこつ、それに昆布と、ねぎやしょうがなどの野菜が入り、濁らないようにだしをとった澄んだスープに、塩だけで味をつけるわけですけど、今日は大間らしい昆布を練りこんだ麺のラーメンを食べてもらおうと思ってます。
小哲〜昆布を練りこんだ麺というのは、昆布の粉末が混ぜられていると思うんだけど、それって、新潟のへぎ蕎麦に似てますね。あそこは、ふのりが入っている。
斎藤〜ええ、だからスープが昆布と野菜で少し緑色になるんですね。ここ津軽海峡でとれる昆布は真昆布という種類で昆布の中でもだしが最も濃厚に出るものなんです。日高昆布とか羅臼昆布とか、利尻昆布なんかよりもずっとだしが出るんです。だしが強すぎて、京料理なんかでは嫌われるんですけれども、その昆布と野菜の色で、ラーメンのスープがかすかですが緑色になります。
小哲〜そうですか、たしかに昆布はだしを取るときに水に浸けておくとわずかに色が出ますもんね。しかし緑色になるってのは、すごいな。
斎藤〜じゃあ、早速店に入りましょうか。
ねばり昆布は大間の海の味
小哲〜いやァ、この店のメニューを見ると、ずいぶんいろんな種類のラーメンがありますね。しょうゆ、味噌、トンコツ、四川に、それからまぐろラーメンなんてのもあるぞ。
斎藤〜でも、「塩ラーメン」がいちばん最初に書いてあるでしょ。この地域は、函館と同じで、やっぱり塩ラーメンが一般的なんですね。あと、この「ねばり昆布ラーメン」というのが、この店で5年前から始めたもので、麺に粘り昆布を練り混んでいます。この地方ではねばり昆布と言ってますけど、いわゆるあらめ昆布のことですね。ねばり昆布は普通の真昆布と同じ場所に生えているんですが、これがあると昆布の生育がじゃまされるので、漁師はこれを.間引いてとってしまいます。で、そのねばり昆布の有効活用を考えて、ここのご主人が、地域起こしの意味もあって、土地の素材として使い始めたそうです。

小哲〜さてさて、注文した「ねばり昆布ラーメン」が出てきました。なるほど、これがそのスープですか。でも、思ったほど色は濃くないですね。かすかに色づいている程度かな。上に乗っている具は、煮豚のチャーシューに、メンマ、ワカメと刻み昆布に、・・・・
斎藤〜その細く刻んだ昆布が、地元でねばり昆布と呼ばれているもので、一般的にはあらめと言ってるものです。

小哲〜なるほど、で、あとはカニ足、刻みねぎ、それと、やっぱりここもお麸が入っている。青森ラーメンのお約束ごとってわけだな。
斎藤〜そう、青森はどこも麸が入ってますね。
薄化粧のラーメン
小哲〜で、まずはスープからゆきます。うーむ、豚と鶏ガラの澄んださっぱりしたスープなんたけど、かなり海草の匂いが強い。それと、けっこう、塩が立っています。塩ラーメンだってことと、脂も少ないから、よけい感じるんでしょうね。でも、港町だから、漁師さんにはこのくらいじゃないと物足りないのかもしれない。スープは、ワカメとかあらめが入っているから、ずいぶん海草の味がするんだけど、麺のカンスイの匂いも少し出ているなあ。でも、これも好き好きではあるか。
斎藤〜麺をよくかんで下さい。かんでいると、じんわりと昆布の味がしてきますから。
小哲〜フムフム、で、このモチモチ感が、昆布のねばりなんですね。でも、へぎ蕎麦ほどはプリプリしていない。
斎藤〜麺をよく見ると、黒い点が見えるでしょ。それがねばり昆布の粉です。
小哲〜でもね、斎藤さん、昨日食べた「凡蔵」のラーメンもそうだけど、このラーメンも、ずいぶんさっぱりしてますよね。とにかく、もはや函館から姿を消したような昔のスタイルの函館ラーメンが、対岸の下北半島の港町に残っているってのは面白いなあ。それとね、これ、東京人の偏見かもしれないけど、本州の最果ての町だから、もっとどん臭いラーメンを想像していたんで、びっくりです。ほら、厚化粧のオバサンが出てくるかと思っていたら、いきなり細面で薄化粧のおねえさんが出てきたって感じね。
斎藤〜なにを言ってんですか、青森美人って言うじゃないですか。
小哲〜おっと津軽人を怒らせるとあとが怖い。さて、斎藤さん、この次はどんなラーメンを食べさせてくれますか。
斎藤〜はい、次はこれぞ南部ラーメンという階上町のお店です。南部も美人ぞろいですよ・・・・・・・。
つづく...
