大阪のうどん文化に着目。和風ダシを利かせた鶏塩ラーメン
「札幌や博多ラーメンのように、これぞ大阪のラーメンといえるものはないのですが、もともと大阪の老舗店にあったのは塩ラーメンです」そう語る橘さんが大阪代表のラーメンとして用意したのは「鶏塩そば」。鶏ダシの塩ラーメンに、大阪ならではの味覚を盛り込んだラーメンだ。そもそも大阪はラーメンよりもうどん文化の根付いている地。当然、うどんに使う和風ダシにはみんな馴染みがある。そこにヒントを得た橘さんは、うどん店で使うダシの配合をもとに、昆布、サバ節、メジカ節などで作る魚系のダシを考案した。これに、滋賀県の淡海地鶏や近江軍鶏で取った鶏ダシを合わせ、特製の塩ダレを加えたスープを編み出し「鶏塩そば」に用いたのである。うどんにも合いそうなラーメンスープだ。麺も、うどんに共通したもちもち感のある平打ち麺を使用。そして、仕上げに菊菜をぱらり。
和風ダシに生の菊菜。大阪の粋な味に注目が集まる
菊菜とは春菊の別名で、関西では菊菜と呼ぶことが多い。関西でいう菊菜には、生でも食べられるえぐみの少ない品種のものがあって、それを生のままラーメンにのせるという趣向だ。「大阪のいくつかの老舗ラーメン店では昔からそうやっていました。春菊よりも香りが柔らかいからスープの味を邪魔しないんですよ」さすがは食い道楽の大阪ラーメンは、審査員たちにも大好評。「これは春菊のようなクセがなくて、このあっさりとしたスープに合う!」「ラーメンというよりもイタリア料理みたい…。飽きない味だ」等々、鶏塩そばへの賛辞はあとをたたかった。
■店主
大阪府鶴見区にある「カドヤ食堂」店主の、橘和良さん。化学薬品メーカーに勤務後、脱サラして奥様の実家の食堂を継ぐ。元々は大衆食堂だったが、ラーメン作りに力を入れて5年ほど前にラーメン店として再出発。
■手羽先
表面を焼き固めてから、鶏のスープを使い蒸し鶏風に仕上げた手羽先。
■菊菜
春菊の別名“菊菜”。香りの柔らかい品種の菊菜を用い、生のままラーメンにのせる。
■麺
麺は、国産小麦の全粒粉を使用。舌触り滑らかな、平打ちの麺だ。
■店舗情報
店名:カドヤ食堂
住所:大阪府大阪市鶴見区鶴見4-1-18
■カドヤ食堂の推薦理由
関西地方講師沖山氏
関西では、和歌山、京都、天理、播州等の地ラーメンに加え、じわじわと昨年末提唱した「関西鶏塩ラーメン」が広がってきました。それに加え、地の季節野菜を盛り込んだ新しいスタイルも増えつつあります。今回推薦する、カドヤ食堂は、滋賀で育てられた地鶏、淡海地鶏(オス)の丸鶏と大阪の伝統野菜である菊菜を使った独自のラーメンです。その他の食材としては、近江シャモ(オス)の丸鶏、横斑プリマスロック(メス)の丸鶏、白金豚のスネ肉等(少量)、道南真昆布、等を使っています。食材において「生産者の顔が見える」と言う、今後の健全な消費活動の旗手としても大変楽しみな事です。ラーメン店が他の食業界を引っ張っていく事により地道な地位向上が見えてくるような気もします。そして、季節の野菜をうまく取り入れることにより栄養価も高くバランスの良い「完全食」となるでしょう。食育啓蒙にもつながらない「一過性の斬新」などは無視する時代の幕開けにもなっています。
写真:安井敏雄
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イラスト/花咲アキラ(「美味しんぼ」より)