富山県民に愛され続けた、ご飯のおかずになるラーメン

富山県のラーメンを代表する「富山ブラックラーメン」。その正体は、黒色に近い濃い醤油味のスープに中太麺、チャーシューを山盛りにのせたラーメンだ。豪快な見た目に圧倒されるこのラーメンが誕生したのは、戦後の復興期。白飯入りのドカ弁を持ち込んで店にやってくる労働者のために、“ご飯のおかずになるラーメン”として考案されたものだった。「喜八」の店主、亀田さんは、富山ブラックラーメンの生みの親の店で修行をしたひとり。「作り方は時代に合わせて変えていけ、と先代には言われましたが、もう半世紀も富山県民に支持されている味ですからね。それを変えるのはなかななできないことですよ」と、今の自分の店でも師匠の味にほぼ近い状態で作り続けている。味の核となるのは、醤油ダレ。富山産のものを含む4種類の醤油と酒を鍋に入れて、そのタレでチャーシューにするための豚肉を3回煮る。そうして、豚の旨みを十分タレに移して2ヶ月ほど寝かせたものがようやく醤油ダレになる。


富山流の食べ方でラーメンを試食してスタジオ騒然

丼に醤油ダレ、鶏の頭でとった鶏ガラスープを注ぎ、チャーシュー、メンマにネギを山型に積み上げれば、富山ブラックラーメンは完成だ。「具と麺とスープをよく混ぜてから食べてください」と、審査員に食べ方を指南する亀田さん。さらに、ご飯も出してラーメンと一緒に食べることをすすめると、審査員一同が大絶賛! 熟成された醤油の味がご飯にことのほか合い、おかずになるラーメンとして大きな賛同を得た。そんな審査員の反応を見て、舞台裏に戻ってきた亀田さんはこうひと言。「郷里のラーメンを日本全国に紹介できて幸せに思う」と言い、心底嬉しそうな表情をしていた。


■店主

富山市にある「喜八」の店主、亀田進さん。富山ブラックラーメンが誕生した「大喜」で 6年間働いた後、昨年4月に暖簾分け。「喜八」を開店し、師匠から受け継いだ味を作り続 ける。


■小哲と店主

「繊細な味ではないけれど、食べるごとに旨さの増すのが家のラーメン」と塾頭・小哲に語る亀田さん。


■メンマ

スープとの相性を考えて、複数の調味料で味をつけたメンマ。


■チャーシュー

チャーシューの量は1人前100gほどと大量だ。荒々しく切ってラーメンにのせる。


■麺を茹でる

よく噛みながら味わってもらうために、麺は固めに茹でるのが亀田流。


■店舗情報

店名:喜八
住所:喜八富山県富山市奥田寿町6奥田ビル3-125


■喜八の推薦理由 中部地方講師寺島氏

富山ブラックは、高橋是康さんが昭和22年に空襲で焼け野原になった街角から始まり、60年食べ 続けられてきた。昨年、86歳で高橋さんは亡くなりました。彼は弟子を取らない事で有名でしたが、 たった3人だけ弟子がいらっしゃいました。その最晩年の二人が 一緒に店を開き味を受け継いでいる。 その店が「喜八」である。富山を離れた誰もがあの味を懐かしみ帰省の度に食べにくる。 つまり、富山という場所に根付き、富山人の遺伝子にまですり込まれた「郷土食」と考えられる。 又、その作り方は、日本蕎麦と同じように二ヶ月を掛けて「かえし」をつくる。チャシュー、メンマ、 それぞれに個性的な味が付けてあり、日本料理の「炊き合わせ」を想わせる(冷蔵庫が無かった時代に安全 を考え、メンマにも鶏ガラと強い塩、富山の昆布出汁で味を付けてきました。チャシューもしっかり火を 通してあります)。単に郷土の食材を用いる事ではなく、郷土の忘れ得ぬ味そのものになっている。私は、 東京の方がどんな評価をされるか判りませんが白い御飯と共に掻き込む喜八の富山ブラックを、今回の コンセプトに照らし、推薦致します。


写真:安井敏雄


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